表題番号:2009B-315 日付:2012/10/21
研究課題サブサハラ・アフリカ諸国におけるガバナンス研究(選挙と民主主義)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 准教授 片岡 貞治
研究成果概要
選挙は、政治的な不安定状態や紛争状態の終結に国際的な正統性を与える指標となり、そうした諸国の新たな出発点を刻印するものとなる。
他方で、政治的に安定していたと思われた諸国においても、選挙の公正な実施とその結果を巡って、各々の政治勢力が、その結果に異常な関心を示し、結果紛糾し、党派間の政治的な攻防から、一般国民の抑制されていた社会文化的且つ経済的不満が一挙に爆発し、暴力の惹起に繋がるという事例も枚挙に暇がない。選挙は政権交代の可能性を常に含むものであり、民主主義的理念や民主主義的文化が定着していない諸国においては、厳しい権力闘争と化すこともあす。そのために、選挙そのものが、武力闘争或いは大規模な騒乱を惹起する可能性もある。
民主主義は、選挙の実施なしには存在し得ない。選挙は如何なる国においても、重要な政治の祭事であり、平和的な議論を通じた政治的な競争である。選挙は、一国の政治制度であり、主権者たる有権者の権利の行使であり、その国の主権の発露なのである。しかしながら、民主的な政治制度と政治文化が完全に定着していない諸国においては、「winner takes all」のシステムが、蔓延化し、敗者に対して不寛容であり、前述のように選挙の結果を巡って、異常なまでの執着を見せ、大きく紛糾することがある。
アフリカにおける民主化途上の諸国(democratizing countries)においては、選挙は、常に民主主義の為のリトマス試験紙であり、その国の民主主義の成熟度が試される。
ブルキナ・ファソでは、憲法改正が焦点となる。現職のコンパオレ大統領の二選となる今次選挙では問題はない。おそらく圧倒的な勝利を飾って、当選するであろう。三選を禁ずる1991年憲法の37条の改正を行って、現職のコンパオレ大統領が立候補するか否かが争点となる2015年が最大の焦点である。今次現地の情報では、憲法改正を行う方向で動きが出てきていた。今後この動きに注目する必要がある。