表題番号:2009B-312 日付:2010/04/02
研究課題地域プロサッカークラブの持続成長ビジネスモデル構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 客員教授(専任扱い) 平田 竹男
研究成果概要
本研究では、地域サッカークラブの持続経営のビジネスモデルを提示することを目的とし、Jリーグにおける成功クラブとその成功要因の抽出を行なった。そして、わが国のプロサッカーリーグにおける成功クラブとしては、「収益」「普及」「成長」という3つを満たすことが必要であり、アルビレックス新潟と浦和レッズという2つのクラブがJリーグにおける成功クラブとして選出された。
手法として、特に「収益」の部分において重要な収入源である入場料収入をいかに増やすかということに着目した。Jリーグをその対象としてその観戦需要を探ると、観客数を決定する要因として、経済的要因、試合の対戦の内容に関する試合要因、観戦の質に関する観戦要因、各チームに関するJリーグ要因などの要因に基づいて重回帰分析を行った。その結果、これらの変数が観客数を約51%説明していることが分かった。
 また、この観客数を決定する要因として、2002年に開催された日韓W杯がJリーグの観客数に与えた影響について分析した。その結果、W杯はJリーグの観客数に対して正の影響を与えたということが明らかになった。その際、特にW杯開催地に本拠地のあるクラブへの影響は大きく、これはW杯開催のために新スタジアム建設などによる効果が顕著に見られた。
考察では、日本の地域プロサッカークラブの成功要因の共通点として、「主体的に経営を担う人物」「特定企業に依存しない資金調達」「広告料収入に匹敵する入場料収入」「人件費比率のバランスを適切に保つこと」「地域のバックグラウンドに即した観客数増加戦略」がその必要な条件であるという示唆を得た。
 今年度の研究では、収益に着目して観戦需要やW杯がJリーグに与える効果について明らかにしたが、引き続き日本におけるJリーグチームにおいて地域プロサッカークラブの事例検証が引き続き期待される。