表題番号:2009B-302 日付:2010/04/04
研究課題プロ野球パリーグにおける観戦者行動に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 原田 宗彦
(連携研究者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学研究科GCOEリサーチアシスタント 松井くるみ
研究成果概要
本研究は、プロスポーツ観戦者の感情に着目し、(1)プロスポーツ観戦者の将来ファン行動(F.B.)予測モデルを検証することと、(2)プロ野球観戦者、プロサッカー観戦者を比較し、共通点・相違点を明らかにし、それぞれのファンの特徴を明らかにすることを目的とした。大学生を対象とした予備調査では、調査で用いた感情尺度や将来ファン行動尺度等のワ―ディングと信頼性を確認した。本調査では、埼玉西武ライオンズ観戦者とFC東京観戦者を対象に、その場で回答してもらう訪問留置法と、観戦後に郵送してもらう郵送法による2種類の質問紙調査を実施し、測定尺度として、不確認期待 (Trail, 2005)5項目,、自尊心反応(Trail, 2005)2因子6項目、将来ファン行動(Trail, 2005)4項目、感情 (隅野, 2005)14因子44項目、満足度 (隅野, 2005; Madrigal, 1995)3項目を設定した。データ分析では、感情14因子44項目の因子間相関およびパス係数を判断基準に、因子構造の再検討を行った。その結果、7因子32項目が適切な構造であると確認された。続いて、7因子32項目を感情項目とし、仮説モデルの検証およびプロ野球観戦者、プロサッカー観戦者の比較をするため、多母集団分析を行った。モデルの適合度については、RMSEA以外の指標は当てはまりがよいとされる数値を得られなかったが、プロ野球観戦者、プロサッカー観戦者のモデルにおいて、すべての仮説を支持する有意なパスが得られた。さらに特徴的な結果として、満足度と将来ファン行動の関係がプロ野球観戦者には見られず、満足度よりも自尊心反応であるBIRGingが将来ファン行動に影響を与えていることが示された。またプロサッカー観戦者は先行研究同様に、満足度が将来ファン行動に最も影響を与えていることなどが明らかになった。