表題番号:2009B-301 日付:2010/04/09
研究課題大腿屈筋の機能分担の解明と肉離れ予防,腱再生メカニズムへの応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 福林 徹
研究成果概要
第1の実験としてハムストリングスの伸張性収縮を見るgood morning実験(股関節の伸張性屈曲)を施行した。結果として積分筋電図(RMS値)で大腿二頭筋と半膜様筋が半腱様筋にたいして高値を示した。また3日後のMRIを用いてのT2値でも両筋は施行前より高値を示し、半腱様筋と異なった挙動を示した。本結果は前年度行ったNordic Hamstringsの実験とは逆の結果であり、股関節の屈曲と膝関節の伸展では、二関節筋であるハムストリングスと言ってもその構成筋により機能差異があることが明示された。
,第2の実験として前十字靱帯損傷選手の術後のリハビリテーションにおいて、術後4ヶ月から6ヶ月の2ヶ月間にNordic Hamstrings トレーニングを施行し、ハムストリングスの筋力、筋体積に及ぼす効果について検討した.結果としてトレーニング群のハムストリングスの筋体積は,三筋ともトレーニング前後で有意に増大した.等尺性膝関節屈曲トルクは健側の45,60,90°,患側の30,45,90,105°において有意に増大した.特にNordic Hamstrings トレーニングによって伸長性収縮に反応しやすい紡錘状筋の半腱様筋・薄筋・大腿二頭筋短頭が肥大し,これらの筋の貢献度が高い膝関節深屈曲位でのトルク増大が生じたと考えられる.なおハムストリングの筋電のRMS値を評価したが、両側とも,膝関節角度の増加にともなう大腿二頭筋長頭、半膜様筋の放電量の低下が証明されたのに対し,半腱様筋の放電量は変化しなかったことから,膝関節深屈曲位における半腱様筋の優位性が証明されたの考えられる.以上より,Nordic Hamstringsトレーニングによって,ACL再建術後に生じる膝関節深屈曲位の機能低下およびSTの筋萎縮が改善することが明らかとなった.
第3の実験として大型トレッドミルを用いての各種スピードでのランニング実験を行った.筋活動量は全ての筋で走速度の上昇に伴い有意に増大した。この中でハムストリング構成筋の特徴としてMiddle Swing Phaseの75%max,85%max,95%maxにおいて半腱様筋の筋活動量が大腿二頭筋に比べ有意に高値を示したが,Late Swing Phaseにかけては2筋共に有意に増大し,筋活動量に有意な差はみられなかった.筋活動の最大値出現時間はStance PhaseおよびLate Swing Phase共に95%maxというほほ全速力での走行時においてのみ大腿二頭筋と半膜様筋腱筋間に有意差が認められ,肉離れと発生頻度の関連が示唆された.