表題番号:2009B-282 日付:2010/02/16
研究課題チーム医療における心理職の専門性と他職種との連携に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 准教授 鈴木 伸一
研究成果概要
本研究の目的は、医療現場で働く心理職の業務の現状を把握するとともに、チーム医療に求められる心理職の専門性は何かを明らかにし、チーム医療におけるメンタルケアシステムあり方と心理職の役割および他職種との連携のあり方について考察することであった。まず、これまでの取り組みで構築されてきたネットワークを活用して、全国の医療機関で働く心理士のチーム医療における専門性と職務上の問題点について相互の情報交換を行った。また、日本心理学会等においては、医療心理学における若手研究者育成に関するワークショップを開催し、情報発信を行った。さらに、全国の医療心理学の実践家、研究者によるMedical Psychologist Networkミーティングを開催し、がん医療、慢性疾患医療、精神医療における医療心理学の現状と課題について議論を行った。また、精神科医師を招聘し、精神科医と心理の連携についてのパテルディスカッションも行った。
 以上の研究から、医療機関における心理士の役割は、医療に対する患者のニーズの多様化や全人的医療への意識の高まりに呼応して、重要視されるようになっているが、チーム医療に行ける心理士のワーキングモデルが確立していないために、十分に機能的な活動ができていないことが明らかにされた。今後は、相互の情報交換を深めながら、チーム医療にける心理士の役割と専門性を明確にしていくことが必要であると考えられる。