表題番号:2009B-276 日付:2010/04/09
研究課題精神的充足・社会的適応力自己アセスメントによる教師キャリア支援プログラムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 菅野 純
研究成果概要
本研究の目的は、怠学的不登校の増加や発達障害児への特別支援教育の実施、保護者との関わりの困難化など、現代の学校教育上の諸問題を分析・検討し、現代の学校教員へのキャリア支援プログラムの開発を行うことにある。これまで複数の研究協力校での調査および教師たちとの研究会(静岡県藤枝市、東京都八王子、神奈川県相模原市、その他)において、現代の教師たちが出会う問題を小学校・中学校別に調査・分類した。その結果、小学校においては「多動・衝動的、コミュニケーション困難の児童の指導および他児童との関係調整」「年々幼くなる子どもたちの社会性育成の問題」「学校教育への理解を示さず“無理難題”をつきつける保護者への対応」等への対応に教師たちが精神的に疲弊し、自己不全感や無力感に陥っていることが明らかになった。また中学校では、小学校と同様の問題のほか、「不登校生徒の増加(相談室等の学級外登校の生徒への指導の困難化)」「年長発達障害生徒における不登校等をともなう問題の複雑化」「家庭教育力の低下と崩壊家庭の増加」等による指導の困難さ等が抽出された。同時に「校務の多忙さ」「管理職との人間関係や同僚との人間関係のトラブル」等も指摘された。これらの諸問題に対して教師がどのように対処し、また自らのメンタルヘルスを保ちながら教師としてのキャリアアップをはかるかが最重要課題であることが明らかとなった。本研究では教師の困難事例へのコンサルテーションやカウンセリングから、教師の「心の基礎力」を底上げし、教師自らの社会性の補いを行うというプログラムの開発を試みた。その結果は『教師のこころのスイッチ』(菅野、2009)として刊行した。またそれぞれの問題に対する具体的対応法を『(嶋田・坂井・菅野・山崎、2009)『人間関係スキルアップ・ワークシート』として一般化の試みを行った。また教師向けの様々な問題への対処法については「心を育てるvol. 13~24(『会報少林寺拳法』)」(菅野、2009)、『月刊学校教育相談』等において具体的事例として発表した。