表題番号:2009B-251 日付:2010/04/05
研究課題大規模システムLSIフロアプランベース設計基盤技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 吉村 猛
研究成果概要
本研究ではフロアプランベースの設計基盤技術の確立を目指し,種々の大きさのブロックを指定された領域への配置を決定するフロアプラン手法、高位レベル設計自動化におけるスケジューリング手法、超高速回路の実現にむけたクロックスキューの最適化手法、Design for Manufacturabilityに関して、冗長ビア導入によるチップ製造の信頼性向上に関する研究を行ない、以下の成果を得た。

(1)ソフトブロックを含むフロアプラン
 形状が可変なブロック(ソフトブロック)の対応として,(a)フロアプラン途中で形状変更を考慮するアルゴリズム,(b)フロアプラン後に、ブロック形状を最適化する手法を提案・評価を行った。実験の結果、(a)の手法により、余裕の少ない指定領域への配置成功率が大幅に向上すること、(b)により既存手法に比べ、配線長が15%前後削減できることを確認した。

(2)高位レベルスケジューリングアルゴリズム
 高位レベルスケジューリングを直接計算するのではなく、まず、タイミングの自由度から一旦、2部グラフを構築し、それをフローネットワーク上での最大フローを計算することで、より最適なタイミング割当求める方法を提案した。

(3) 超高速回路のクロックスキュー最適化
 レジスタのクロックドライバへの割り当てを最適化することにより、スキューを最適化する方法を検討し、ラグランジュ緩和法による最適化手法の改良を行った。これにより、解の精度向上、計算時間の短縮を実現できる見通しを得た。

(4)チップ製造信頼性向上のための冗長ビア挿入手法
 遺伝アルゴリズムに基づく冗長ビア挿入手法を提案した。また、最小コストフローアルゴリズムを利用して、挿入される冗長ビアの密度を均一化する手法を提案した。