表題番号:2009B-233 日付:2012/05/24
研究課題単一アンテナを用いた干渉除去技術による周波数有効利用技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 佐藤 拓朗
研究成果概要
概要
本研究は、OFDM方式において一つのアンテナを送受信機に用いるSISO(Single Input Single Output)技術を用いて、さらに、隣接セルが同じ周波数を用いても、自局の希望信号と隣接セルの干渉信号とを分離し、自局の信号のみを検出する方式に関する研究である。本研究の成果により、一つのアンテナを用い、しかも全てのセルで同一の周波数を同時に用いることができることから、OFDM方式において周波数利用効率が最大となる通信方式を明らかにした.

研究報告
本研究成果は2つの分けることができる。それぞれについて述べる。
(1)The Sequential Channel Estimation-Adaptive Joint Maximum A Posteriori (SCE-AJMAP)に関する研究
逐次型チャネル推定は、シンボル毎にデータを更新し、高速フェージングによる希望信号と干渉信号が合成された受信信号の振幅変動をより精密に追従できることを示した.逐次型チャネル推定されたシンボル毎に適応的に同時最大事後確率を希望信号と干渉信号の両トレーニング信号も用いて適応同時最大事後確率を求める逐次型チャネル推定適応同時最大事後確率(SCE-AJMAP)復号方式を研究し、従来の同時最大事後確率(JMAP)復号器に比べて高速フェージング環境下における受信特性を大きく改善できることを示した.結果を図1に示す。干渉雑音が2dBで高速移動環境下において、14dBSINRにおいて10-3の誤り特性を可能とした。

(2)The Least Mean Square-Blind Joint Maximum Likelihood Sequence Estimation (LMS-BJMLSE)Algorithmに関する研究
処理遅延が低い同時最尤度推定(JMLSE:Joint Maximum Likelihood Sequence Estimation)法と最小平均二乗(LMS:Least Mean Square)法を用いた単一アンテナ干渉除去方式の研究を行った.最小二乗同時最尤推定(LMS-JMLSE)方式は、希望局からのトレーニング系列のみを用い、干渉局からの情報が必要としないブラインド方式が可能であることを示した.LMS-JMLSE方式は希望信号および干渉信号のシンボル系列候補とそれぞれのチャネル推定値を用い、希望信号と干渉信号を含むレプリカ信号を生成し、受信信号から減算することで尤度情報を得て最尤推定を行い干渉信号が未知でも希望信号を検出することでブラインド問題を解決した.また、LMS-JMLSE方式は収束が遅いサブキャリアを検出し、線形補間が行うことで、トレーニング系列の大幅な減少を可能とし、伝送効率を大幅に向上させることができる.本研究ではさらに受信ダイバシーティにも適用し高速フェージングに対する優れた耐性が得られたことを明らかにした.結果を図2に示した。干渉雑音と希望信号が同じ0dBの条件において誤り特性10-3を実現した。