表題番号:2009B-225 日付:2010/12/22
研究課題再生可能エネルギー利活用のためのシステムインテグレーションによる最適化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 天野 嘉春
研究成果概要
本研究室で開発に取り組んでいるVapor Compression and Condensation (VCC)技術を脱水・蒸発プロセスに組み込むことで,脱水・蒸発過程で消費されるエネルギーを格段に減少させることができ,固形燃料としてエネルギー利得が得られることを明らかにした.これまでWetバイオマス系の処理方法には嫌気性消化によるガス化プロセスが活発に研究開発されてきたが,これを上回る有望な処理システムの構築が見込めることを明らかにした.
一方,エネルギーシステムを適切に評価するに当たり,対象規模に応じて,家庭レベルから大規模な事業所レベルまでの最適運用計画・設計問題として定式化し,システムのポテンシャル比較の枠組をより多くの実データを取り込む事に成功した.具体的には,日本国内の典型的な事務所ビルにおけるエネルギー供給システムの更新計画問題を取り上げ,これを0-1混合整数計画問題として定式化し,炭素税が導入された場合の,システム更新計画に与える影響を評価した.その結果,環境省案(655 円/t-CO2)は,直接システム更新に与える影響はほとんどなく,13倍程度の税率になって初めて,システム更新に高効率機器が導入されるインセンティブを与えられるようになることを明らかにした.この結果は,従来のトップダウンアプローチによる評価結果とほぼ整合し,本研究のボトムアップ方式による評価方法の有効性を示唆するものと成った.