表題番号:2009B-220 日付:2010/04/01
研究課題金属被覆したカーボンナノファイバー強化軽金属複合材料の製造法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 増田 千利
研究成果概要
 カーボンナノチューブ(CNT)やファイバー(CNF)は高強度、高剛性、高熱伝導特性など機械的あるいは物理的特性が卓越した繊維であるため、金属基複合材料の強化材として利用が期待されているが、直径が1~150nmと従来複合材料に用いられている強化繊維より小さくいために凝集していて、粉末法で均一分散させることが大変困難と言われている。そこで高含有率のCNF-Al複合材料を作成するために、フンサンさせずに、CNF間にAl溶湯を浸透させることができれば、従来の鋳造法が利用できるために、実用的な部品への応用が広まると期待される。このためにはCNFとAlとの濡れ性が悪いことが大きな問題となる。濡れ性を改善して、Al溶湯をCNF間に浸透させるためには、CNF表面に母材と同じAlを薄くコーティングする方法が有効ではないかと考えて、コーティングの開発を試みた。
 条件を変えて、試料作成を行って、X線回折法(XRD)や透過電子顕微鏡(TEM)で検討を加えた結果、CNF表面に約10nm程度でAlがコーティングされている部分が多数認められた。詳細な検討結果によるとAl被膜だけでなく、Al2O3の存在も若干認められるようであるが、明確にはまだできなかった。これをAl粉末を20%程度混合して低温での予備焼結体(プリフォーム)を作成し、800℃、850℃で無荷重、窒素ガス雰囲気下で保持した結果、内部に含まれたAl粉末が溶融し、固化している部分がかなり認められた。断面を研磨して組織観察や、硬度を測定した。内部は完全に焼結してはいなかったが、空洞は小さく、内部にCNFが取り込まれていることが分かった。今後さらに温度、時間を変えて検討を試みる予定である。