表題番号:2009B-201 日付:2011/10/26
研究課題プラズモン導波を利用した高効率熱アシスト磁気記録媒体の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 本間 敬之
(連携研究者) 理工学術院 研究員 柳沢 雅広
(連携研究者) 理工学術院 助手 大内 隆成
研究成果概要
本研究は,テラビット/平方インチ級の面記録密度を有する次世代型超高記録密度型ハードディスク媒体への適用が期待されている,熱アシスト磁気記録方式を高効率で実現させるため,照射光から発生した表面プラズモンを利用する手法の確立を目標としている.今年度は,まず強磁性ナノドットアレイ(ビットパターン)の精密形成実現のための要素技術の確立を目標に研究を進めた.
ナノスケールのビットパターンの均一形成には精密なパターン基板の形成技術が求められるが,本研究ではまず基礎検討として電子線リソグラフィー法を適用し,8nm径,25nm周期のテラビット級パターンの形成手法を得るとともに,その径や周期を制御しながらパターン形成するための条件を確立した.さらに,実際の生産の際のスループットの面から,より現実的な基板作製手法として期待されているUV-ナノインプリント(UV-NIL)法に着目し,実媒体に適用されるCoZrNb軟磁性下地層を付与したガラスディスク基板に強磁性ナノドットパターンを形成する手法を検討した.その結果,150 nm径,300 nm周期のパターンを安定に形成するプロセスを得ると共に,パターン内に電析法によりCoPt強磁性体の均一に充填させることに成功した.また,下地軟磁性層の表面にCu層を付与することにより,その上に形成されるCoPtナノドットは5.0 kOe以上の保磁力を示し,また断面透過電子顕微鏡観察から,析出初期よりhcp-c軸が垂直配向した柱状晶が成長していることを確認した.このような微細構造が高保磁力の発現の起源であると考えられる.さらに,このCu層の薄層化を検討した結果,2~5nmの極薄膜でも,成膜条件により配向制御効果を得られることを明らかとした.これらの成果を基に,強磁性ナノドットパターンの安定形成およびプラズモン導波へと研究を展開する予定である.