表題番号:2009B-199 日付:2011/01/26
研究課題アンビエント情報社会実現のための歩行時の速度・加速度変化による心理状態の推定
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 渡辺 仁史
研究成果概要
昨今の広告技術の進歩により、利用者の注意は写真や映像による間接的な情報に向けられ、空間による直接的な情報へ向けられることが減少している。そのため、利用者の注意を店舗内部に呼び込むことができる、空間による直接的な情報提示のあり方を考える必要がある。
また、歩行者が店舗内部に興味を持っているという心理状態が分かれば、その心理に合わせたさまざまなサービスが考えられる。
そこで本研究では、店舗ファサードにおける店舗内部への視界の遮り方と、店舗前を通過する歩行者の注意(心理)との関係、また注意(心理)と頭の振り向き(行動)との関係を明らかにする。
○視覚的情報の部分的遮りと注意との関係(空間と心理との関係)
対象物に対する視覚情報を部分的に遮ることは、対象物への人間の注意を高める効果があると考え実験を行った。
視界の遮り方として、数種類のスリット(「切り取り」手法)、半透明膜(「ぼかし」手法)を用意し、被験者にその前面を歩行させアンケート調査により注意度を尋ねた。
その結果、何もない時よりも、スリットや半透明膜による視界の遮りがある方が、歩行者の奥のモノに対する注意度が高まることが分かった。また、「ぼかし」よりも「スリット」の方が、注意度が高まることが明らかになった。
○「注意」と「頭の振り向き」との関係(心理と行動との関係)
対象物の前面を通過する際、対象物に対する注意度(心理)と頭の振り向き(行動)との関係を明らかにした。
頭の振り向き角度、頻度、時間、速度、加速度を算出し、注意度との相関分析を行った。その結果、注意度と頭の振り向き頻度、時間、速度、加速度との相関は得られなかったが、注意度と頭の回転角度との相関は得られた。歩行中にモノに対して注意度が高くなった場合、頭の振り向く角度が大きくなることが明らかになった。