表題番号:2009B-170 日付:2010/04/07
研究課題都市空間における芸術をめぐる建築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 木谷 建太
研究成果概要
当該研究は,建築・都市・芸術の3分野を横断したものであり,また,美術館などの施設について実践的にかつ総合的に検証するものである.近年上記3分野の境界が曖昧となり,オルタナティヴ・スペースのようなこれまでのカテゴリーの外にある「場」が生まれている.これを研究対象とすることで,翻って建築・都市・芸術の場所に対する関係性の理解に至るという点に着眼した.都市・建築・芸術のすべての分野が交差する場所,すなわち本研究課題名である「都市空間における芸術をめぐる建築」の発見および「場」の記録を目的として研究を進めた.また,申請を行った科研費より少ない予算・研究期間において,研究課題に対して調査対象を限定的にすることで,今後の当該研究課題の深化を目指した.
 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」,「日仏景観会議・伊勢」,「日本建築学会建築文化事業委員会シンポジウム」に参加し,また,建築・都市・芸術の3分野に関係する展覧会に赴くと共に,カタログを収集した.
 同時並行的に進行する現象を研究対象に含むので,それらの記録方法・ノーテーションの方法に関しても,「場」の記録の観点から,GPSの移動軌跡と写真のマッチング等検討を重ねた.
 さらに,デジタル・アーカイブやGISについても関連研究書籍を収集し,その援用方法についても参照した.
 以上により,サイトスペシフィックな創造の「場」において,アーティストが他者の土地で作品を作ろうとする時に,その場所の所有者,関係者の了解を得るために,とるコミュニケーションの背後に,地域の歴史・コミュニティ・文化から生じる反感・批判・疑問を解消すべく,学習・お互いの理解・異質な人々の協働というプロセスがあることを確認した.また地元とアーティスト,あるいは協力者のあいだに新たな形の「公共性」の概念も確認できた.