表題番号:2009B-157 日付:2010/04/07
研究課題ラリタ・シュインガー作用素の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 本間 泰史
研究成果概要
本研究の目的は,ディラック作用素に対する様々な結果を,ディラック作用素の一般化であるラリタ・シュインガー作用素に対して,どの程度成立するかを調べ,その本質を探ることである.

(1)2009年度の研究では,ツイスター値調和多項式をスピン群により既約分解し,どの既約成分がラリタ・シュインガー作用素の解空間となりえるかについて考察した.まず,どのような既約成分が現れるかを明らかにした.また,ディラック作用素の多項式解をツイスター作用素で移せば,ラリタ・シュインガー作用素の解となることも証明した.しかし,その他の成分については,解となるかどうか未解決である.その非自明な解を具体的に構成し,数学的にどのような意味をもつのかを調べることが今後の課題の一つである.
(2)また,ラリタ・シュインガー作用素の固有値計算は現在のところ球面上でしか行われていない.そこで,3次元ハイゼンベルグ多様体上のラリタシュインガー作用素の固有値計算に取り組んだ.まだ,途中段階であるので研究成果を発表できる段階に至っていないが,コンパクト対称空間上のそれと異なり,ハイゼンベルグ群の場合には無限次元表現(及び1次元表現)が現れるという面白さがある.ディラック作用素の固有値分解との相違を調べ,リーマン計量を極限状態にしたときに,どの固有値が活きてくるかを調べることも今後の課題である.

なお,本研究に部分的な研究成果を東京理科大学で開催された研究集会にて発表した.