表題番号:2009B-156 日付:2010/03/16
研究課題身体全身の揺れを共有するゆりかごコミュニケーションシステムと一体感の創出
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 上杉 繁
研究成果概要
身体全身の揺動を互いに共有することを目指し,ロッキングチェアに座っているような揺れを与えるためのロッキング・インタラクションシステムを先に提案した.しかしその機構は座面とモータ軸を直結していたため,座面揺動を実現するには頻繁にモータを反転させなければならず,モータ制御への過度の負荷が問題であった.そこで本研究では,長時間の使用とスムーズな揺動の実現を目指し,モータの回転方向は一定として,揺動に応じその出力を反転するクラッチ機構を開発した.クラッチは伝達トルクを調整できるパウダクラッチ(定格25[N・m])を椅子1台につき2台使用した.モータの出力はギヤとベルトを介し正・逆転する2系統に分割してそれぞれのクラッチに入力し,各クラッチからの出力は座面と接合した回転軸にそれぞれ入力した.またロータリーエンコーダ(1800[P/R]),制御用コンピュータ,パワーアンプからなる制御システムにより,2台の座面の揺動を一致させる.すなわち,各座面の側板に繋いだ軸の角度が互いの制御目標の角度となるよう,PID制御による操作量を算出し,その値に応じて各クラッチの出力を操作する.これにより,各クラッチの出力の回転方向とトルクを変化させて座面傾斜角度が一致するように制御を行う.座面機構の大きさは幅740[mm]高さ465[mm]奥行805[mm]である.無負荷時の目標傾斜角度1[deg]におけるステップ応答の結果,無駄時間は94[msec],時定数は609[msec],また最大傾斜角度は±1.6[deg]であった.以上のクラッチ機構によりモータ制御への負荷が減少したため,座面に人が乗った状態や,モータに最大負荷がかかる状態でも長時間安定したスムーズな動作を実現できた.