表題番号:2009B-145 日付:2010/03/23
研究課題ゆらぎを伴う生物アトラクターの解析と構成に関する制御理論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 内田 健康
研究成果概要


 モデリングの方法に関して実施した研究の概要: 生物のみならず人工物におけるアトラクターの解析・制御の関する研究の調査、さらに生物におけるゆらぎの研究の調査から開始した。本研究では数理モデルに基づくアプローチを採用し、ゆらぎを伴うアトラクターのモデリングに関する研究の調査とモデリングに関するソフトウエアの調査をおこない、その結果に基づき確率モデルの構築に取り組んだ。特に生命現象の典型的な例である概日リズムというゆらぎを伴うアトラクターに焦点を絞った。本研究では概日リズムの制御メカニズムにおけるゆらぎの役割を定性的に理解するために、単純なモデルを用いた。
 ゆらぎを伴うアトラクターの定量的評価の概要: 遺伝子レベルから細胞レベルに至る分子・細胞システムで実現されている機能に対するゆらぎの問題は避けて通れない。確率モデルの構築を検討しながらゆらぎを伴う概日リズムのアトラクターを定量的に評価する方法を検討した。確率モデルの構築とゆらぎを伴うアトラクターの解析を平行して行い、それぞれの検討結果を合わせた知見に基づいて相互に行き来しながら検討を進めた。解析においては、アトラクターの確率分布の数理解析と同時に、その確率分布から導かれる生物学的に意義のあるゆらぎの統計量・評価量とは何かを検討した。先行研究として平衡状態に関するゆらぎの解析と評価に関する結果が公表されているので、その調査結果を踏まえた検討をおこない、平衡状態からアトラクターという動的な定常状態に変更されたときに、制御メカニズムを解明するためには(例えば、概日リズムのゆらぎとロバスト性の関係を解明するためには)どのような評価が合理的であるのか、また、どのような評価が生物学的特徴を抽出できるのか、といった視点から解析と評価の問題を検討した。