表題番号:2009B-136 日付:2013/10/23
研究課題特異な共役構造を持つ生理活性物質の実用的合成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 細川 誠二郎
研究成果概要
天然より初のbenzo[a]pyrene骨格をもつ化合物として単離された抗腫瘍性物質benzopyrenomycinおよびdihydroxanthone骨格を持つ抗腫瘍性物質nidulalin A の初の全合成を達成した。Benzopyrenomycinの全合成においては、これまでに合成例がほとんど無かったbenzanthrone骨格の効率的な合成法を確立するとともに、申請者が開発したanti選択的遠隔不斉誘導反応においてsyn体が形成される場合があることを発見し、両者を組み合わせて効率的な不斉全合成経路を確立した。合成終盤においては、芳香族に対する側鎖ヨウ化アルキル基のラジカル環化反応において、反応開始剤となる過酸化物を過剰に入れることによって環化と酸化を一挙に行い、benzanthrone骨格からbenzo[a]pyrene骨格へと変換することに成功している。また、nidulalin Aの全合成では多置換ベンゼンにおいて位置選択的なカップリングを実現することによって短工程のdihydroxanthone骨格構築法を確立した。また、酸化段階を調整することで、dihydroxanthone骨格上の立体化学を制御することにも成功した。