表題番号:2009B-129 日付:2011/05/26
研究課題高度光ネットワーク用全光再生及び光機能接合集積デバイスの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 宇高 勝之
研究成果概要
化合物半導体及びポリマー材料を用いて、それぞれハイエンド向けの光パケットスイッチング用高速光スイッチ、ローエンド向けの加入者系/インターコネクション用光スイッチについて、一層の低消費電力動作及び、実用に向けての課題の解決の観点から検討を行った。化合物半導体においては、InAlGaAsマッハツェンダ(MZ)干渉計型光スイッチについて、実用上克服が不可欠な偏光無依存動作について、低クロストーク化のために優れた干渉効果を示すハイメサ導波路による多モード干渉(MMI)カプラを、そして電流注入時に偏光無依存な位相変調が可能なミドルメサ導波路による移相領域を組み合わせたハイブリッド導波路構造を考案し、5mAという低電流動作(消費電力として約6mW)でかつ目的に偏光依存性が極めて低いナノ秒のスイッチング動作を実現し、考案した構造の有効性を実証することが出来た。また動作波長も約30nmと光増幅器の1バンドをほぼカバーする特性が得られた。他方、ポリマーにおいては、熱特性の優れたSU-8をコア、PMGIをクラッド層に用いたMZ型光スイッチにより、導波路構造や電極位置の最適化により、これまでよりもさらに低い3.5mWというポリマーによる熱光学効果(TO)光スイッチでは最少の低消費電力を完全偏光無為損で実現した。また、同時にスイッチング時間もTO型ではかなり低い約100マイクロ秒の高速動作や初期的な安定動作も確認し、ポリマーTO光スイッチが実用的であることを示した。また製造コストの低減が可能なインプリント技術をポリマーデバイスに適用すべく、サブミクロンの回折格子を有する導波路型光フィルターを作製、基本特性を実証し、ナノインプリントのポリマー光デバイスへの適用性を示した。