表題番号:2009B-111
日付:2011/04/08
研究課題滑り基礎上に設置される低層制振住宅の耐震性能評価と耐震計算法に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 曽田 五月也 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 助手 | 宮津 裕次 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 客員講師(専任扱い) | 松永 裕樹 |
- 研究成果概要
- 本研究では、免震構造に準じた効果を低コストで実現することを目的として考案した滑り基礎構造の実用化に向けて、種々の角度より主に理論的に検討した。滑り基礎構造とは、上部構造とべた基礎構造の間に適度な滑りを生じさせるための摩擦係数の小さな高分子系シートを敷き、さらに上部構造の構面にオイルダンパを設置した構造である。中小地震時には構面に設置したオイルダンパにより地震力を吸収し、大地震時には上部構造が高分子系シートの上を滑ることによって上部構造に伝わる地震力を抑制する。大地震後も建物を修復することなく継続して使用できることを目標とするものであり、その実現のために今年度は設計法の構築に向けて下記の理論的な研究を中心に実施した。
1)最大加速度応答の推定方法
滑り基礎構造は、建物の基礎を滑らせることによって建物に入力される地震エネルギーをある一定量にまで抑制する構造システムである。その性能は摩擦力によって一意に決まるものであるから、摩擦係数が分かっていれば時刻歴応答解析に依ることなく、上部構造の最大応答加速度を予測することが可能である。本研究では、滑り基礎を含む2質点振動モデルを対象として、最大応答加速度を予測する方法を提案した。
2)滑り基礎構造の最大滑り量と残留滑り量
はじめに、周期と最大速度を入力地震波の卓越周期と最大速度と等しく設定したSin波1回の滑り変位量を算出することによって、概ね傾向を示すことができることを確認したのちに、さらに一般的な地震波の卓越周期を周期とする正弦波に対する滑り変位量により地震動による滑り変位量を予測出来ることを示し、最終的に、過度な変位を抑制する摩擦係数μについて検討した。
3)上記、1)、2)の検討より、滑り基礎の摩擦係数を0.15-0.2の範囲で設定すれば、戸建て住宅上部の最大加速度応答を400-500cm/s^2、基礎の最大滑り量を40-50cmと出来ることを理論的に裏付けた。