表題番号:2009B-105 日付:2011/05/24
研究課題流体数学:弱解,ゆらぎ,そして安定性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 柴田 良弘
研究成果概要
1.確率偏微分方程式的方法により、ナヴィエ・ストークス方程式の弱解の構成を行うための準備として、W. Stannat, Darmstadt 工科大学教授を招へいし、Gaussian measure, Wiener Process, Banach 空間上での Martingales などの基本的な概念からはじまり, Hilbert 空間上での確率偏微分方程式のっ解説、確率ナヴィエ・ストークス方程式への応用などのレヴューを受けた。この講義録は
柴田研究室ホームページhttp://www.fluid.sci.waseda.ac.jp/shibata/index.htmlで閲覧可能である。
2.G.J.Galdiピッツバーグ工科大学教授, A.Silvestre リスボン工科大学教授等を招へいし, 回転物体まわりの定常流の構成を共同研究の形で行った。
3.2で構成した定常流の安定性を示すための第一段階として、定常流のまわりで線形化した一般ストークス作用素のスペクトル解析を行った。さらにこの一般化ストークス作用素が半群を生成することを示し、時間無限遠方での半群の漸近挙動を求めた。またこの結果をもとに回転物体まわりの流れの安定性を示した。
4.地球まわりの大気層などの回転する流体の運動を記述するNavier-Stokes-Coriolis方程式の初期値問題の時間大域的な解の存在とその時間無限遠での漸近挙動の解析を行った。証明の鍵は線形化作用素が生成する連続半群は解析半群を生成しない。しかし時間大域解を示すのに十分である減衰評価を求めることは可能であった。これは先行研究のまったくない結果でありこれからのこの方面の
研究方法に新しい側面を与えた。
5.上記研究テーマに関する「流体数学国際研究集会」を3月8日、9日、15日、16日に行った。詳細は柴田研究室ホームページhttp://www.fluid.sci.waseda.ac.jp/shibata/index.htmlで見れる。
6.戦略的創造研究推進事業CREST研究領域「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」研究課題「現代数学解析による流体工学の未解決問題への挑戦」が採択される。研究期間は2009年9月~2015年3月