表題番号:2009B-102 日付:2010/04/08
研究課題インシリコ・ケミストリーの確立:分割統治法に基づいた大規模量子化学手法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 中井 浩巳
(連携研究者) 理工学術院 助教 今村 穣
(連携研究者) 理工学術院 助手 渥美 照夫
(連携研究者) 理工学術院 講師(任期付) 小林 正人
(連携研究者) 理工学術院 講師(任期付) 佐藤 健
研究成果概要
本研究の最終目標は、インシリコ・ケミストリーの確立である。まず、それに必要な高精度な大規模計算手法を開発するため,本研究では,理論の構築,プログラムの開発,そして実践という3段階で研究を進めた。当研究室ではこれまでに,全系を部分系に分割して計算することにより計算コストを削減する手法,分割統治(DC)法に基づくHF,hybrid-DFT,MP2,CCSD法の理論および計算アルゴリズムを提案し,これら計算プログラムの開発を行ってきた。本研究では,現在標準的に用いられている計算方法のうち最も高精度なCCSD(T)にDC法を適用した(DC-CCSD(T))。また,エネルギー計算だけでなく動的分極率を計算するための計算手法にもDC法を拡張した。
比較的低コストである密度汎関数理論(DFT)は,標準的な交換相関汎関数を用いる場合,分散力を記述できないという致命的な問題があった。本研究では局所応答近似に基づいて分散力を非経験的に算出するLRD法を考案し,弱い相互作用の高精度かつ効率的な計算を可能にした。
また,量子化学計算に基づく分子シミュレーション手法を用いて,生体関連分子の立体構造の探索を行った。その際,当研究室で開発した分子構造の類似性の指標を用いて効率的に探索するMSMC法を用いた。