表題番号:2009B-084 日付:2011/05/24
研究課題持続的にイノベーションを起す企業組織の研究-創造性・効率性・社会性の統合-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 大月 博司
研究成果概要
 組織行動として求められるのは、伝統的に効率性と社会性であったが、近年、創造性(イノベーション)に対する期待の高まりとともに、創造性を実現する組織のありか方が問われている。一般的に、創造性は一過性のもの、あるいは偶発性の産物とされる側面が指摘されるが、組織においてこれをコントロール対象にできるならば、持続的にイノベーションを起こせるできる体制を整備することが可能となる。
 本研究では、こうした創造性(イノベーション)を持続的に起こすことができる企業組織について、どのような条件が備われば実現できるかについて、内外の企業組織を対象に分析を進めて。分析モデルとして想定されたのは、組織行動の基本はあくまでも効率性の追求であり、それを軸に社会性の追求も可能な上、創造性のロジックを組み込んだモデルである。すなわち、組織は効率性を高めれば高めるほど、既存体制の再構築が求めれるという仮説から、イノベーションが必然的に生起するというモデルである。ただしここで問題となるのは、イノベーションの特定化である。つまり、シュンペーター流にすべての変化をイノベーションにしていいかどうかである。そこで本研究では、組織体制の変化に限定して分析を進めることにした。
 今回の研究対象は、バリューチェーン分析が可能なメーカーを中心にサンプリングし、国際比較研究を意識して定性研究を軸に展開した。その結果、研究成果として抽出できた主要な点は、競争が激化すればするほど創造性の発揮が実現する、という図式である。激しい競争が前提になると、コスト削減のための効率正、社会的認知のための社会性、そして競争優位性を確実なものにする創造性(イノベーション)が統合的に実現することが求められるのである。