表題番号:2009B-063 日付:2013/05/14
研究課題大学教員・学生の授業観と授業改善を結びつける授業評価調査のあり方に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 三尾 忠男
研究成果概要
 本研究では、授業評価調査の在り方について受講学生からの意見を収集を実施した。
大学授業についての学生アンケートの実施について、学期末実施の総括的な評価調査では得にくいより詳細な情報を得るために、毎回、アンケート等を実施することが望ましい。代表的な方法として、マークシートによる学生アンケートとコメントシート(例えば「大福帳」)がある。昨年度の実践によりコメントシートを使用したクラスの方がマークシート使用のクラスより総合的な満足度が毎回の授業で高くなり、総括的授業アンケートの結果もより良い評価であったことがわかっている。しかし、授業者の負担(毎週、着数十人の学生にコメントを書く)が大きく、広める課題となっていた。
 本年度は、2クラスで、コメントへの返却を2週に1回、3週に1回という頻度で実施して、授業者の負担軽減と授業への学生の満足度の相違を調査した。
 授業者は、2週もしくは3週分のコメントについてまとめて返信をする。単純にクラスを2等分もしくは3等分するのでは、欠席した学生にとっては、1週、余分に返信の間隔が開くことになるため、学生のコメント2回もしくは3回に返信を1度というペースで行った。
 その結果、150名を超えるクラスにおいて、2週に1度という頻度でのコメント交換が総合的な満足度の維持に必要であろうという第1次的な結論を得た。
 学期末の総括的授業アンケートの自由記述より、「大福帳」という教員と学生個々とのコメント交換の機能が毎回の授業の振り返りに効果的に働くことは間違いないようであるが、隔週もしくは2週間の間隔があくと、学生にとって教員との心的距離が狭まることにマイナスにはたらいくようである。
 本中間的な成果を受け、翌年度は、同じ試みを実施して妥当性を検証する予定である。