表題番号:2009B-045 日付:2010/04/10
研究課題西洋社会におけるエリート支配と政治文化システムの創成に関する比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 森原 隆
研究成果概要
古代から近・現代ヨーロッパにおけるエリート支配と政治文化の関わりを、研究分担者が、それぞれの研
究分担課題について、史料文献の収集と研究史の把握に努め、研究会での報告や議論をとおして研究課題
の再検討を行なった。2009年7月に研究総会と書評会、11月にスペイン史関連の主催シンポジウム、12月
に「慈善と博愛」に関する共催シンポジウムを開催した。個別研究としては、森原は、研究全体を総括し、
近世フランスのジャーナリズム・エリートの分析を行ない、とくにサロンに見られる政治文化とエリート
の関係を考察した。前田は、古代オリエント・メソポタミアの家産制のもつ階層構造の分析を、甚野は、
中世における王政と教会文化の関わりを論じた。また2009年3月、『12世紀ルネサンスの精神』(知泉書
館)560頁、を刊行し、2009年7月合評会を行った。井内は、中世ポーランドの騎士層と都市の関係、松園
は、18ー19世紀イギリスのジェントルマン貴族層、大内は、第2帝政期ドイツの政治的・社会的エリート、
村井は、近代北欧のエリート、竹本は、アメリカ合衆国の黒人エリートに関する考察を継続してそれぞれ
深めた。2010年3月に、森原隆編『ヨーロッパ・エリート支配と政治文化』(成文堂)350頁を刊行した。
共同研究書として17名の個別の研究論文とはしがきからなり、これまでの3年間の研究成果として提出し
たものであるが、今後はこれに関する合評会の開催を予定している。一応、この研究成果をもって「エリ
ート研究」を終了し、今後は「共生」をコンセプトに「ヨーロッパにおける共生社会の創出と政治文化の
形成」を共同研究テーマとして新たな共同研究を開始する。継続してヨーロッパ社会における「共生」の
の問題を政治・文化を中心に検討し、研究報告会や共同研究としてのシンポジウムを開催し、共同研究書
の刊行を目指してすすめてゆく予定である。