表題番号:2009B-039 日付:2010/04/12
研究課題古代マヤ文明における王権システムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 准教授 寺崎 秀一郎
研究成果概要
 調査研究の主要対象地域であった、ホンジュラス共和国において、2009年6月に現職大統領(当時)の追放があり、同国内の政治状況が不安定化した。そのため、調査研究を管轄する同国国立人類学歴史学研究所においても人事等の混乱があり、フィールドワークを実施することが困難となった。継続的に現地情報の収集をおこなった結果、同年11月に実施された大統領選挙の結果が国際的にも認知され、また、2010年1月に発足した新政権のもと、事態は収束に向かいつつあることも確認できたが、年度内に体制を整え、フィールドワークの実施には時間的な制約があり、断念せざるを得なかった。
こうした事情により、本年度は、2010年3月5日~18日にわたり、メキシコ合衆国での資料調査、ならびに遺跡踏査をおこなった。
 古代マヤ王権の比較研究のために、古典期マヤの中心地域の一つである、マヤ西部地域のパレンケ遺跡、ヤシュチラン遺跡を中心に近年の発掘調査の状況を確認した。同地域は遺跡の分布状況などの点で、本研究の主要対象地域である東南マヤ地域と共通する点も多く、両地域に挟まれるように位置する中央低地地域とは異なる様相を示しており、古代マヤ王権システム解明の上では、比較研究のために有効な地域と考えている。併せて、当該地域の中心都市であるサン・クリストバル・デ・ラス・カサスにおいて、マヤ・グループの一つである、ラカンドン・マヤの民族資料を豊富に所蔵するナ・ボロム博物館での資料調査をおこなった。
 メキシコ・シティでは、メキシコ国立人類学博物館所蔵資料を中心に古典期マヤの遺物、マヤ系諸民族の民族資料等の観察をおこなった。
なお、ホンジュラス共和国については、今後も現地機関との調整を継続していくことを確認した。