表題番号:2009A-958
日付:2010/04/09
研究課題日本語教育における相互自己評価の実態とシステムの構築
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 国際学術院 | 助手 | 市嶋 典子 |
- 研究成果概要
- 本研究では,M-GTA (修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)によって,学習者の相互自己評価活動に対する認識を調査・分析した。
具体的には,報告者が勤務大学で2年間にわたり行った相互自己評価活動(学習者が評価項目を決定し,教師,本人を含む教室参加者全員がコメントを述べ合う評価活動)を取り入れた日本語教育実践の学習者への半構造化インタビューのデータ分析を通して,相互自己評価活動における学習者の学びの実態とその生成のプロセスを立体的に描き出した。
分析からは,学習者らが,学習者同士が互いに行うという相互自己評価活動に対して心理的負担を抱きながらも,これらの葛藤と向き合い,評価を再解釈していくプロセスを生み出していったこと,自身の価値観が変化したことに意義を見出し,この変化を将来の日本語学習への動機付けとして位置づけるようになったことが明らかになった。一方で,このように相互自己評価活動に対して意義を感じつつも,不満も抱いていることが明らかになった。以上の分析結果を踏まえ,主に教師の観点からのみ語られてきた評価の意義を問い直し,新たな相互自己評価活動のシステムの構築と改善案を示した。