表題番号:2009A-944 日付:2012/09/23
研究課題数学教育におけるクラウドコンピューティングの活用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 吉田 賢史
研究成果概要
新学習指導要領では,言語が,知的活動(論理や思考)やコミュニケーション,感性・情緒の基盤であることから,各教科等でレポート作成や論述を行うといった言語活動を指導上位置付けることが求められている.
生徒自身が論理的な思考を展開できるようになるためには,自分の論理を視覚化して発表し,それを第三者として客観的に見直すことが有効である.さらにその行為を繰り返すという論理展開を推敲することが大切である.しかし,教員が,授業時間枠の中で,展開することは難しい.そこで,T2VPlayerを用いた学習環境を提案する.T2V とは, Text to Vision の略であり,キャラクターに対する台詞を記述することで,そのキャラクターが音声合成により喋り,動作コマンドにより動作を加えることができるテキストからの映像化技術である。映像コンテンツの制作は,通常大がかりなものになりやすく学習者個々に合わせた授業展開は難しい。
我々は,修正が容易であるという利点と解説内容を推敲できる利点を生徒の「学び」の立場から捉え,生徒自身にT2VPlayerを使って学習内容の解説コンテンツを作成させた.生徒自身によるコンテンツの作成は,生徒に知識を伝えること難しさを体感させ推敲を促す効果が期待できる.さらに,そのコンテンツの完成度を高めるためには,共有する場が必要である.共有の方法は,動画サイトなどを利用しそのURLを共有することも考えられるが,生徒のPCスキルおよびPC環境の影響が大きく教員の負担が大きい.そこで,我々は,T2VPlayerで再生可能なファイルを共有するシステムを構築した.
学習者は,授業だけでなく自宅やPCルームから時間に縛られることなくコンテンツを作成することが出来る。また,学習者の感想から,台詞を書き動作を指示することでキャラクターが演じることは,学習者にとってゲーム感覚で制作していたものと思われる。今後試用を続けながら学習意欲への変化を調べる必要があると思われる。
今回のシステムの問題点は,Windowsクライアントにのみ対応している点である。携帯電話など様々なデバイスに対応させることも今後の課題である。