表題番号:2009A-900 日付:2010/04/09
研究課題光無線通信における副搬送波ビームフォーミングに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 劉 江
研究成果概要
光無線通信は,低コスト,電波と干渉しない、法規制を受けにくい,低消費電力を実現可能といった特徴から,データ通信の一手法として注目されてきた。一方で、電波通信とは異なる、いくつの技術的な困難を伴う。その中でも特に困難な問題として、ビームの幅と到達距離のトレードオフが挙げられる。具体的には、光ビームの幅を狭めることにより電力を集中すれば、伝播損失が少なくなり、誤り率特性の劣化を小さくできる。しかし、光は直線で伝搬するため、送信器ビームと受信器の位置を合わせなければ通信ができないため、ビームが狭くなればなるほど、通信可能な範囲が狭くなる。最も容易な解決方法はビームフォーミング方式を利用することであるが、光は周波数が非常に高いため、RFと同様に光信号の位相を調整する方法を用いたビームフォーミング方式は適さない。この問題を解消するため、著者らは、拡散した光ビームを使いながら移動端末が存在する場所に目的とする副搬送波のみをビームフォーミングにより効率良く伝送する、RF副搬送波ビームフォーミング方式を提案する。

本研究では光無線通信を移動体通信に適用した場合について考察を行った。著者は以下の手順で進んでいた。まず、光チャンネルとして、外部の背景光雑音やその他のノイズの影響を考慮し、シミュレーションを行い、通信BER(Bit error rate)と光受信電力の関係を明らかにした。結果から、光受信電力が一定の閾値を超えると、良い性能の光無線通信ができることを証明した。次に、閾値以上の電力を達するため、送信機の配置位置、距離などをシミュレーションで考察した。また、ビームパターンを設計し、ビームの電力分布様子を明らかにした。ビームの電力分布を分析した結果、RF副搬送波ビームフォーミング方式が有効であると証明した。