表題番号:2009A-884 日付:2010/03/08
研究課題様々な通信の問題に対する最適化理論に基づいた復号法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 堀井 俊佑
研究成果概要
通信において雑音が発生する状況において,効率的に品質の良い通信を行うためには,誤り訂正符号の研究は非常に重要である.また,限りある通信資源を効率的に使うためには,符号分割多重アクセス(CDMA)に関する研究が盛んに行われている。本研究は,これらの各種通信における復号の問題を統一的に扱うものであった。
一般的に,どのような通信において,最適な復号方法は既に明らかにされている。ところが,それらは多くの場合,膨大な計算資源を要するものであり,実用的なものではない。一方で,各種通信における復号問題の多くは最適化問題として定式化することが可能である。そこで本研究は,凸最適化理論・組み合わせ最適化理論における研究成果を応用することで,効率的な復号アルゴリズムを提案した。
まず,組み合わせ最適化理論の分野で提案されている分枝カット法と呼ばれるアルゴリズムを応用した,誤り訂正符号に対する復号アルゴリズムを提案し,国内外の学会で発表を行った。
従来提案されている幾つかの有効な復号アルゴリズムがこのアルゴリズムの一例であることが明らかになり,アルゴリズムの一部を変更することで,様々な有効なアルゴリズムが構築された。
数値実験により,提案したアルゴリズムの有効性を示した。
また,CDMA通信に対しては,一般化確率伝搬法と呼ばれるアルゴリズムを応用した復号アルゴリズムを提案した。
この結果については,現在国際学会への投稿を予定している。