表題番号:2009A-104 日付:2010/04/01
研究課題裁判員制度と参審制度との構造的及び機能的比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院法務研究科 教授 田口 守一
研究成果概要
2009年5月21日に施行となった裁判員制度につき、本制度の核心は、「市民と職業裁判官との協働」の可能性にあるとの認識から、裁判員制度に最も類似する参審制度との構造的・機能的な比較研究を計画した。この課題はそもそも「素人と専門家の協働」という大きな問題の一場面であり、本研究はその基礎研究に当たる。本年度は準備的研究として、Chiristoph Rennig, Die Entscheidungsfindung durch Schöffen und Berufsrichter in rechtlichen und psychologischer Sicht: empirische, rechtsdogmatische und psychologische Untersuchungen zur Laienbeteiligung an der Strafgerichtsbarkeit, 1993.(法的及び心理学的観点からみた参審員と職業裁判官による裁判形成―刑事裁判への素人参加に関する実証的、法理論的及び心理学的研究)の大著(724頁)の研究を進めた。その他、「対談:裁判員裁判の半年を振り返って」(早稲田大学大学院法務研究科の雑誌「Law & Practice」第4号(2010年4月発行予定))などを通じて、裁判員裁判の現状把握に努めた。
なお、2010年4月22日~23日に中国北京で開催される「中国刑事訴訟法における第2審の改革に関する国際シンポジウム」において、「Strucrure and Trial Object of Koso Trial in Japanese Criminal Procedure (日本刑事訴訟法における控訴審の構造と審判対象)」(英文)と題して、裁判員裁判の上訴審に及ぼす影響を報告する予定であり、また、2010年5月14日~15日に、ドイツ・フランクフルト(オーデル)及びポーランド・スゥビツェにて開催される「第4回ドイツ・日本・ポーランド刑法コロキウム」において、「Neue Entwicklungen des japanischen Strafprozessrechts(日本刑事訴訟法における最近の展開)」(独文)と題して、裁判員制度の施行とその意義について報告する予定であり、いずれも原稿は提出済みである。