表題番号:2009A-074
日付:2010/04/10
研究課題CERN-LHCにおける重粒子衝突実験用検出システムの基礎開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 鳥居 祥二 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 博士後期課程1年(DC1) | 赤池 陽水 |
(連携研究者) | フィレンツェ大学 | 教授 | Osacar Adriani |
- 研究成果概要
- 本研究は、イタリア、フランス、スペイン、米国と国内研究機関の共同研究であり、昨年より本格的稼働を始めたCERN-LHCのATLAS(IP1)の両側の各々140mのところに、ARM#1とARM#2と呼ぶ2台の測定器を設置して実験を行う。いずれの測定器も、両者とも最前方領域(>100GeV)における中性粒子(γ線、中性子)のエネルギーを、各粒子の入射位置を検出して測定できる。さらに、このような2台の測定器を用いることにより、互いに異なるアクセプタンスを実現することが可能となり、観測のバイアスを極小化することができるというメリットがある。各測定器のカロリメータの構造はほぼ同じであるが、位置検出のためARM#1はシンチ・ファイバーを、ARM#2ではシリコン・ストリップを用いる。
早稲田大学グループは、 ARM#1の心臓部ともいうべきシンチファイバー検出器の製作を行ない、粒子位置検出性能を確定して本実験におけるデータ解析を担当している。これまでに、3.5TeVx3.5TeVの低輝度ビームによる陽子衝突実験が実施されており、期待通りの成果をあげている。これらの陽子衝突の実験データをもとに、将来の重粒子衝突実験のための高頻度トリガー用回路システム試作のための基礎開発を行った。重原子核衝突では一つの検出器に複数の粒子が同時入射することが判明しており、それを避ける方策を検討するために、トリガー方法や検出器設計の見直しも実施している。