表題番号:2009A-059 日付:2013/05/02
研究課題感性品質を考慮したパッケージデザインに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 棟近 雅彦
研究成果概要
 感性品質とは,人間のイメージやフィーリングによって評価される品質である.感性品質は,人間の種々の単感覚で評価されるが,図柄,商品の外観,ファッションの見栄え等の視覚で評価される感性品質は,設計の自由度が高いので,他の単感覚とは異なる設計方法が必要である.本研究では,視覚で評価される代表例である商品のパッケージデザインを研究対象として取り上げ,商品コンセプトを消費者に伝えることができ,かつ消費者に好感を与えるようなパッケージデザインを設計するための方法論を確立することを目的とした.
 本研究では,パッケージの中でも比較的安価な食品であるビール缶とめんつゆのパッケージを事例とした.まずビール缶に関しては,従来の購入意向調査で用いられた評価用語を,KJ法による分類と評価モデルとの対応付けを行い,食品等のパッケージの感性品質調査に必要な,評価用語の最少セット導出した.また,めんつゆに関しては,パッケージデザインを特性値が測定可能な要素(デザイン要素)に分解し,先の評価用語の最少セットから評価用語を選び,「おいしそう」を総合感性とするアンケートを作成した.そして,デザイン要素とアンケート結果の関係を分析し,パッケージデザインに適切な評価モデル,デザイン要素の選定方法の指針を明らかにした.
 この指針を用いて「本格的」,「高級感」という商品コンセプトをめざしためんつゆパッケージの試作品を作成し,アンケート調査によってこのコンセプトを消費者に伝えられることを確認した.また,この調査により,評価用語の最少セットも有用であることが確認できた.
 本研究の成果により,視覚によって評価される感性品質の評価方法および設計方法に関する基礎的な知見が得られ,これまで試行錯誤的に行ってきたパッケージデザインの設計に工学的アプローチを取り入れることが可能となった.