表題番号:2009A-009
日付:2010/02/22
研究課題過失犯の行為規範と過失行為の関係に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 | 助手 | 仲道 祐樹 |
- 研究成果概要
- 本研究課題においては、過失犯の行為規範と過失行為の関係を明らかにすることを目的として、研究を行った。
2008年度特定課題(2008A-813)後半の課題とした、ドイツにおける否定的行為概念の分析から、同概念が、上記研究課題に示唆を与えるものであることが明らかとなった。そこで、本研究課題においては、同概念を、規範の側面と行為構造の側面から、過失犯を素材に再度分析し、その成果を「行為概念と回避可能性の関係(1)(2・完)」としてまとめ、比較法学に投稿した。
同論文では、比較法的に情報の少ない否定的行為概念について、詳細な情報提供をすると共に、行為規範が結果の回避を内容とするものであること、そこから、行為性の判断にあたっても、人間の身体的動作が回避可能であるかが判断基準となることという二つの結論を得た。また、研究計画において素材として掲げた「自動化された行為態様」の問題についても、否定的行為論の各論者がそれぞれの理論を提示しているため、この紹介に上記論文の一定ページを割き、我が国への情報提供とした。
本研究課題により得られた結論は、我が国において近時問題となっている「複数行為による結果惹起」の過失犯バージョンである「段階的過失」の研究に応用可能であり、次年度は同問題を素材に過失犯の行為規範と行為構造の研究を進めていく予定である。