表題番号:2008B-299 日付:2009/03/24
研究課題微生物を利用した小型廃棄物処理技術の基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 大貝 晴俊
研究成果概要
現在,少子化により子供用紙おむつの需要は減少傾向にあるが、一方で高齢化社会に伴い大人用紙おむつの需要は増加している.
紙おむつは排泄物と大量の水分を含み焼却処分では環境への負荷は大きい.そのためその廃棄処理が大きな問題となっている.
 そこで、一般家庭,医療用施設で手軽に使える紙おむつ処理機の設計開発を目指して、微生物を利用した小型廃棄物処理技術について基礎研究と大型実験装置を用いた分解実験を行った。
 本年の成果のひとつは、高セルロース分解能力を有する新しい菌の分離を行ない、従来の分解菌に比べ4、5倍の分解能力を持つ土壌菌で、1昨年度に分離した菌(Yui菌)よりもさらにその1.5倍分解能力をもつ菌を分離することに成功した。また生成する酵素および菌自体の成長環境としの至適温度や至適PHが、適切であることが50度近辺であることが実験によって確かめられた。その至適温度は、病原菌を抑える温度としても有利といえる。
 成果の第2は、大型のごみ処理装置を用いて紙おむつの分解を行い、その分解処理能力について、具体的に確かめたことにある。地元企業のごみ処理装置を借用して、水分を含ませた大量の紙おむつを連続して処理し、分解処理の可能性を明らかにした。この大量の紙おむつ分解処理を、日に10枚、20枚、30枚、50枚投入しても処理できることを確認した。また紙おむつの主成分であるセルロースが時間とともに消失していくことも確認した。8 日間の紙おむつ積算投入量は計51.2kg,それに対して紙おむつの積算減少量は約44.1kgであり、約9割分解していることがわかる.