表題番号:2008B-295 日付:2009/03/20
研究課題カスタマイズIPによる高性能マルチプロセッサSoCの効率的設計手法
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 渡邊 孝博
研究成果概要
 本研究では,前年度までに研究してきた「カスタマイズできるプロセッサIPとそのカスタマイズ設計環境」を用いて,
マルチプロセッサSoC (以下 MPSoC *1)を構築する設計手法の検討,具体的なアプリケーションを対象にMPSoCをFPGAで
試作し評価すること,および,MPSoCの今後の発展形として幅広い分野の応用が期待されているNoC(*2)の構成法の研究を
行った.また,IPの最適化設計にAI手法を導入した新しい試みとSoCの高性能・低電力化を達成するためのプロセッサ
アーキテクチャを並行して研究した.具体的な研究内容と成果は以下の通りである.成果は国際会議等で論文発表した.
(*1 MPSoC : Multi-Processor System on a Chip *2 NoC : Network on Chip)

(1)カスタマイズ可能IP“Rip-up IP”としてCOMET,x86互換,MiniMIPSの3種類のプロセッサIPを開発し,IP設計支援環境“WIPER”
 を用いてカスタマイズし,FPGA実装して,回路規模,処理性能,消費電力等の評価を行った.
(2)MPSoCの性能を予測するための一手法として,FPGAを用いたマルチプロセッサシステムを試作した.アプリケーションはJPEG
 エンコーダ・システムで,AlteraFPGAにハードウェアおよびJPEGソフトウェアを実装した.1プロセッサから4プロセッサまでの
 構成で,タスク分担や設計方法の工夫を行い,性能比較を行った.
(3)SoC上の複数コアの各々にルータを取り付け,ネットワークで信号伝送するNoCを用いて,NeuralNetworkのハードウェア化の
 アーキテクチャを提案し,NoCシミュレータによる性能評価実験とFPGAによる消費電力見積もりなどの評価を行った.
(4)SoCのためのIP利用をさらに促進させるためには,優れたIPが効率よく開発される必要がある.複数個の設計制約条件下でAI手法
 を用いてをIPの最適設計ができるシステムを研究した.改良型GAを提案し,小規模な論理回路を例に,複数条件に対して最適設計
 が得られることをシミュレーション実験で確認した.
(5)プロセッサの高性能化の一ボトルネックである,分岐命令からの回復処理を高速化するハードウェア機構を提案し,
 シミュレーションで評価実験を行った.