表題番号:2008B-294 日付:2009/03/25
研究課題VLSIの論理素子の制御値に基づく電力・遅延最適化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 木村 晋二
研究成果概要
VLSIの性能向上および電力消費を削減する目的に対し、論理素子の制御値を用いる手法を提案し、基礎的な実験を行った。まず性能向上に対しては、AND ゲートの制御値が0であることを用いて、論理回路の最長経路を通る0への変化をANDゲートで先に通すこととし、そのための制御条件を生成する方法を導いた。また1への変化に対しては OR ゲートで先に通すこととした。0への変化と1への変化を分けてスキップ(バイパス)するので 01-skip 手法と呼んでいる。本手法を簡単な回路に適用し、期待通りの高速化が得られることを確認した。ツール化と種々の回路への適用が今後の課題である。また制御回路の共有による付加回路の削減も今後の課題である。

一方、電力消費の削減に関しては、AND ゲートの制御値が 0 であることを用い、一方が 0 であるときに他方の入力の値が不定でも出力に影響を与えないという性質を利用し、他方の入力を計算するブロックの電力を停止する手法を提案し、簡単な回路で効果を確認した。本手法は、プロセスの微細化に伴い大幅な増加が見られるリーク電力の削減に有効であると同時に、動的な電力の削減にも有効であることが確認されている。ツール化および種々の回路への適用および実LSI試作を用いた評価が今後の課題である。