表題番号:2008B-289 日付:2009/03/23
研究課題出会い頭衝突警報・電子システムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 馬場 孝明
研究成果概要


我々は、超音波センサーをトンネルの側道に分散配列することで、交通渋滞をリアルタイムで予測するシステムを開発し国土交通省管轄のある場所で実証実験を進めてきた経過がある。この方式の原理は、超音波を極めて周辺雑音のレベルが高い環境の中で目的とする対象物に発射しその反射波を捕らえ信号処理することで、対象物まで距離計測ができることをベースにしている。しかしながら、この方式は、対象物までの距離が長くなり、複数車線からなるような道路環境下において、車両の存在やその走行速度までをを的確に把握する為には、距離測定の分解能力に限界があると推定され、本方式を直ちに出会い頭の車両間の衝突を回避できる電子・警報システムに応用展開出来ないことが明らかとなつた。この様な背景の下で、本研究では、取り組みの第一歩として、道路側道から対象物すなわち走行車両までの距離測定と当該車両の走行速度の分解能力を改善することに主眼を置いて遂行した。具体的には、擬似ランダム2値コード化した超音波スペクトラム拡散BPSK (Binary Phase Shift Keying)信号を発信し、基準レファレンス超音波スペクトラム拡散BPSK信号との相関を測位できる送受信センサーをルネサス社―R8Cマイコンを用いて試作、検討した。 開発した超音波送受信センサーは、 従来の単純なASK (Amplitude Shift Keying) 送受信号方式に比べて、4倍(120cm->480cm)の測位距離レンジの拡大と約4倍の分解能(25cm->7cm)の向上を実現できた。従って、次の研究段階では、新たに開発した超音波送受信センサーを用いてフィールド実証実験を展開する計画である。