表題番号:2008B-266 日付:2010/04/02
研究課題地域振興のための自立型スポーツクラブの経営モデルの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 客員教授(専任扱い) 平田 竹男
研究成果概要
本研究は、地域活性化のためのモデルケースとして、地域自立型のプロスポーツクラブにおける経営モデルを構築しようとするものである。本年度は、地域に密着し、持続可能な経営を志向する国外における成功事例として、サッカーイングランド2部リーグであるコカ・コーラ・チャンピオンシップに属するバーンリーFCを抽出し、持続的経営を可能とする要因の分析を行なった。イングランド2部リーグにフォーカスした理由としては、各クラブの収入規模がJリーグディビジョン1のクラブに非常に近く、収入構造もテレビ放映権収入への依存度が低く、より地域密着な経営が求められるリーグであることが挙げられる。その中でも、バーンリーFCは、ホームタウン人口が7万人という小規模クラブでありながら、2部リーグに長期間残留しながら利益を出すなど、持続的な経営を行っており、我が国における地域自立型プロスポーツクラブの経営に参考となると考えられる。
研究手法としては、まず、バーンリーFCのクラブ創設からのプロセスを成書および新聞・雑誌記事、諸論文の中から探索を行い、クラブの史実を取りまとめた上で、実際に現地に赴いてのクラブ関係者へのインタビュー調査、及び経営データなどの内部資料の分析によって、バーンリーFCの自立型経営を可能にする要因を検証した。
その結果として、シーズンチケット販売、人件費比率の抑制、地域のシンボル化、の3つの要因を抽出したほか、地域貢献を目的としてクラブハウスを開放して子供たちに対するパソコンや数学の教育を行うなど、サッカー以外の政策にも力を入れていることがシンボル化に繋がっていることが考察された。
本年度の研究では、研究対象を欧州のサッカークラブとし、地域振興のための自立型プロスポーツクラブ経営モデルの一例を明らかにしたが、より日本に適応可能なビジネスモデルを探るために、欧米のプロスポーツクラブの事例検証が引き続き期待される。