表題番号:2008B-258 日付:2010/04/30
研究課題地域スポーツクラブにおける人材マネジメントに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 准教授 作野 誠一
研究成果概要
 これまではクラブづくりというと、組織図をつくる、役員を決めるなど「組織形態の整備」という狭い意味で捉えられるきらいがあった。しかし、本研究において調査対象としたKSCC(向陽スポーツ文化クラブ)のクラブづくりを「運動」という視点から捉え直してみると、この他にもクラブづくりをいくつかの局面・段階として把握できるということ、またその初期段階において、地域の生活問題や課題が人びとに認識され共有されていることの重要性、さらにそうした問題認知や問題共有を促進・支援するリーダー行動の重要性など、重要なポイントがいくつも存在することが明らかになった。
 クラブ組織の形成プロセスは、地域社会の構造的要因(地域特性等)、地域住民の心理的要因(動機づけ、行動意図、熱意等)、資源要因(主導集団、情報)といった複数のファクターが、それぞれ段階的に影響する一連の流れとして把握される。各要因についてどのような対応をとるかは、地域の状況によって異なると思われるが、KSCCの調査を通じて地域社会の生活課題や主導集団の探索(状況認識)、住民同士のコミュニケーション(相互作用)を促す場づくり、基礎情報・ノウハウの提供などが行われていたように思われる。これらにはいずれの場合も人材のマネジメントの視点が欠かせない。すなわち、リーダーをはじめ、イニシアチブグループのメンバーの果たす役割がきわめて大きいことが指摘できる。