表題番号:2008B-253 日付:2009/03/25
研究課題ジュニア期のエリートサッカー選手への走りのコーチング
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 礒 繁雄
研究成果概要
【目的】
 今回対象とした選手は,浦和レッズ・ジュニアユースを対象に陸上競技種目で行われている短距離走のトレーニングを導入している.
【方法】
対象年齢及びトレーニング期間と主なコーチング内容は以下の通りである.
・対象:中学1年生~3年生,合計47名(1年生・15、2年生・17、3年生15)
・トレーニング期間:6月6日~10月6日、週1回程度
・コーチング視点:股関節周りの筋群を使える動作の獲得,特に制動成分期の減速力を逃がさないための接地と支持脚の姿勢を技術として獲得させる.
動作のできばえは,ビデオ撮影と光電管を用いてスタートから40mまで10m単位で記録を測定した.動作の記録は,パーニング法により10m単位での歩幅と回転数を求めた.測定は,6/6と10/6を同じ条件で測定した.さらに,個人的できばえを口頭調査により求めた.
【結果】
・所要時間は、スタートより40mまでほとんどの選手に記録短縮が見られた.また,10m単位での記録短縮は0~10mに大きな変化が見られた.このことは,最大速度の獲得よりは,スタート後の加速度が高まったと考えられる.
・歩幅と回転数は、記録短縮にともない回転数が高まっている.
・口頭調査では,個人の動作を具体的に表現する選手が増えていた.
 以上のことより、週1回程度の陸上競技短距離トレーニングで効果がみられることがわかった.この際、最大速度が高まる可能性を考えていたが,スタート後の加速度が優位に向上していた.これは,サッカー選手にとって俊敏な速度向上につながるものと考えられる.さらに、コーチングで用いた言語と走技術の関係を選手が理解したことで2回目の口頭調査に具体的な表現が出たのであろう.
 今回のサッカー選手に導入した結果は,先行研究で報告されているトレーニング実施期間よりは短期間で成果が出ている.今後は,成果の出た原因を詳細に調べる必要があろう.