表題番号:2008B-249 日付:2012/04/03
研究課題親子間で検討した小児メタボリックシンドロームに対する遺伝、運動・栄養の影響と対策
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 坂本 静男
研究成果概要
【目的】メタボリックシンドロームに対する遺伝的関与を検討するために、小学生を対象に出生時体重、3ヶ月時体重および1歳時体重と小児期における身体組成との関連を比較検討した。【対象と方法】対象は小学生男子58名(7~12歳)であった。母子手帳を利用して、出生時体重、3ヶ月時体重および1歳時体重を調査した。これらの値より出生時から3ヶ月時までの体重の伸び率および1歳時までの体重伸び率も求めた。身長計、体重計およびDEX装置を用いて、身長、体重、体脂肪率および除脂肪量を測定した。またMRI装置を用いて、臍上で腹部の横断像を撮影し、腹部の皮下脂肪面積と内臓脂肪面積を計測した。そして出生時体重、3ヶ月時体重、1歳時体重、出生時から3ヶ月時までの体重の伸び率および出生時から1歳時までの体重伸び率と、小児期における現在の体重、体脂肪率、除脂肪量、皮下脂肪面積、内臓脂肪面積および内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比との相関関係を検討した。統計学的有意水準はp<0.05とした。【結果】小児期における現在の体重は、3ヶ月時体重および1歳時体重との間に有意な正相関を認めた。小児期における現在の体脂肪率は、3ヶ月時体重および1歳時体重との間に有意な正相関を認めた。小児期における除脂肪量、皮下脂肪面積は、3ヶ月時体重および1歳時体重との間に有意な正相関を認めた(内臓脂肪面積は3ヶ月時体重との間に有意な正相関を認めた)。小児期における内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比は、3ヶ月時体重および1歳時体重との間に有意な負相関を認めた。【考察】今回の小児期の身体組成は、出生時体重との間には相関関係は認めず、3ヶ月時体重および1歳時体重との間に正相関を認めた。出生時体重よりも3ヶ月時体重や1歳時体重の方が、出生後の成長・発育に関連する環境要素が強く影響しているように推測され、そのことが原因となって今回のような研究結果になったように考えられる。それゆえ小児期肥満を予防する上では、幼児期の栄養摂取および日常生活活動内容に注意していく育児が重要と思われる。