表題番号:2008B-242 日付:2009/04/10
研究課題離島に特化した健康づくりソーシャルマーケティング戦略の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 竹中 晃二
研究成果概要
  本研究者らは,2008年度から徳之島の南部に位置する鹿児島県徳之島伊仙町の調査を実施し始めた.かつて世界長寿ナンバーワンを2名も輩出し,長寿の町として知られてきたこの町は,離島特有の気候や食べ物,そして昔から根付いてきた島の文化や伝統が長寿を作り出すに十分な環境を備えている.しかし,最近はメタボリックシンドロームを示す中年成人が急増しだした.伊仙町の人口は,7,637名であり, 2007年度健診受診では,男性438名,女性626名が受診し(受診率24.3%),総合判定において,要医療者(要再精検査者および要治療・治療継続者)が全体の過半数を占めた.また,肥満傾向を示す体格指数(体重度)111%以上の者の割合は,鹿児島県全体が34.7%と高いものの,伊仙町では46.8%を占め,約半数が過体重と見なされる.特に,役場職員に限っては,52.2%と数値が高く,職種によって肥満傾向が異なっていることが窺えた.
 伊仙町における調査では,従来の健診やアンケート調査の他に,離島に特化した介入戦略をたてることを目的にして,いくつかの下位集団に属する人たちに対してフォーカスグループインタビューを実施した.昔はサトウキビの収穫など重労働であった労作業も今や機械化によって身体への負担が軽減され,しかし昔から伝えられてきた町の風習や習慣は脈々と受け継がれている.そこで食する内容は,昔とは異なり,生活が豊かになった分,揚げ物や甘味料の多い摂取カロリーが過多な内容になっている.まさに,人のつきあい方や身体を動かすことを阻害する暑さなど社会・物理的環境要因がメタボリックシンドロームを作り出す要因となっている.本研究で実践するヘルスコミュニケーション介入の成果が,離島住民の健康づくりに大きく寄与することをねがっている.