表題番号:2008B-240 日付:2009/03/24
研究課題看護における人に対する技術習得過程の同定とその改善プログラムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 浅田 匡
(連携研究者) 神戸大学医学部 教授 田村 由美
研究成果概要
看護教育において、専門性に関する知識・技能を獲得するプリセプターシップは重要な段階である。プリセプターシップは、メンタリングの1つとして位置づけられ、プリセプティ(新任看護師)とプリセプター(中堅看護師)との関係性に、その効果が左右される。また、看護基礎教育において看護技術の習得に関して、看護技術(人に対する技術)をどう捉えるかということも問題となってきた。本研究では、(1)プリセプティとプリセプターの関係性を捉えることと(2)看護技術の捉え方とを問題とした。
(1)の関係性については、メンタリングにおける関係性に関する調査項目をベースにプリセプターシップ版を作成した。その予備調査として、7名程度のプリセプター及びプリセプティに対するインタビューを行なった結果、プリセプター及びプリセプティ間の個人差が大きいことが明らかになった。また、現状では中堅看護師の不足問題もあり、プリセプター経験を有する看護師も存在し、プリセプターシップを捉える枠組みそのものを再検討する必要性が窺えた。さらに、プリセプターが実践的スキルよりも心理社会的なサポートに傾斜することが窺え、人に対する技術習得におけるプリセプターの役割がはっきりしないことも示唆された。
(2)の人の対する技術に関しては、患者の状態(状況)に基づく判断過程を含む看護技術の測定を問題とした。教師の意思決定研究にみられたように、再生刺激法や思考発話法、あるいはリフレクション等の方法が考えられたが、むしろ看護が「できる」ということを問うことの重要性が明らかになった。すなわち、「知っている(わかる)こと」と「できること」との間にはギャップがあるということである。その意味から、看護基礎教育カリキュラムの構造が、「わかる」から「できる」というシークエンスになっていないかどうか、といった点を中心に今後検討していく必要が示唆された。