表題番号:2008B-235 日付:2009/02/12
研究課題生殖機能制御およびその性分化におけるセロトニン神経とエストロゲン受容体
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 山内 兄人
研究成果概要
1.前脳に対する中脳縫線核セロトニン神経投射の量的解析
 前脳の排卵、母性行動、雄性行動制御の中心である視索前野(POA)、ロードーシス抑制に関わる外側中隔(LS)、ロードーシス促進に関わる視床下部腹内側核(VMH)に投射する中脳背側縫線核(DR)と正中縫線核(MR)のセロトニン神経細胞数を明らかにするために、去勢雌ラットのそれぞれの部位の右側に逆行性神経トレーサーであるフルオロゴールド(FG)を注入た。凍結切片にFGとセロトニンの二重免疫染色を施し、DRとMRの二重免疫陽性神経細胞数を測定した。その結果、VMHとPOAはDRの反対側から、MRは両側から投射が多いこと、LSは主にMRから投射があることが明らかになった(Neurosci. Res.61(2) 207-218, 2008)。
2.視床下部内エストロゲンα受容体発現細胞量の解析
 視床下部内のエストロゲン受容体に関しては、排卵と生殖行動に重要とされるα受容体(ERα)の発現細胞数を免疫組織学的に雌雄ラットで調べた。その結果、雌では排卵周期に重要な、VMH、弓状核(ARV)、視索前野前脳室周囲核(AVPvN)、LS, 中脳中心灰白質(MCG)の順でERα免疫陽性細胞数(密度)が多く、雌雄差はVMH雌が大きかった(Soc.for Behav. Neuroendocrinol. 12th Annual meeting, Netherland, July 7-10, 2008 Abstract p.98)現在投稿準備中である。
3.セロトニン神経のER発現に対する影響
セロトニン神経がERαの発現にどのような影響をもつか、卵巣除去ラットDRを破壊し免疫組織化学的にERα免疫陽性細胞数を計測している。DR破壊するとVMHの免疫陽性細胞数が増加する傾向が見られているが、まだ実験途上で、例数を増やしているところである。