表題番号:2008B-233 日付:2009/03/24
研究課題問題解決訓練を組み込んだペアレント・トレーニングの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 佐々木 和義
研究成果概要
【目的】
 Prader-Willi症候群(PWS)児は、満腹中枢の異常から過食傾向が強く、こだわりや対人関係のトラブル、パニックなどの問題行動のリスクが極めて高い。本研究では、保護者に対するペアレント・トレーニングによって、行動マネジメントが有効かを検討する。

【方法】
対象者:小児科専門外来のPWS患者の保護者7家族。個人的理由で4家族が修了した。
手続き:問題解決を含む行動療法の講義、およびブレーンストーミングによるワークショップとからなる5セッションを隔週で実施した。各会の内容は、①尺度記入、ターゲット行動決定、ベースライン記録の取り方、②正の強化、家庭でのほめ方決定、③先行子操作および環境設定、家庭での対応策決定、④肥満予防、前回対応策の再検討、⑤ホームワーク、および全セッションの振り返り、修了式、尺度記入とした。
尺度:GHQ30、障害ある子どもの保護者の受容尺度(加藤ら, 2005: 48項目)、家庭生活チェック表(山本・池田, 2005)。

【結果】
 受容尺度では、4名全員のポジティブ得点が微増し、ネガティブ得点が少し下がった。家庭生活チェックリストでは、2名に大きな、2名にわずかな改善がみられた。
 PWS児は視覚的支援刺激に応じて行動できるようになり、各々、しつこい確認行動、朝の準備と着替え、自発的トイレ、攻撃行動に改善が見られた。

【考察】
 行動マネジメント法の確立がいまだなされていないPWSについても、問題解決訓練を含んだ保護者へのプログラムの効果が示唆され。とくに視覚的支援刺激と正の強化の併用が有効なマネジメント法と考えられる。