表題番号:2008B-231 日付:2013/05/15
研究課題認知症患者のケアマネジメント・データベースの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 加瀬 裕子
研究成果概要
認知症患者が生活を送る上で障害となる行動心理徴候(BPSD)について、改善事例204を収集し、どのようなケアのマネジメントが行なわれたかを調査した。その結果を公開し、認知症患者に関わる専門職や家族に介護の参考となる資料を提供する方法を開発することが、本研究の目的である。
そのため、調査結果のデータベース化を行なった。このデータベースを使用することで、被害妄想、暴言、暴力、多動、作話、同じ話の繰り返し、幻視、幻聴、大声を出す、無断外出、感情失禁、介護への抵抗、収集癖、昼夜逆転、徘徊、火の不始末、排泄、弄便、異食、物を破損、性的行為、無気力、中核症状の行動別に事例を検索し、画面を切り替えることによって、改善のために行なわれた介入を行動別に知ることができる。
 改善のために行なわれた介入行動は、1身体・精神状態の改善、2環境の調整、3能力への働きかけ、4コミュニケーションの改善、5家族・介護者への働きかけの5領域44項目に分類した。全ての事例で複数の介入が行なわれており、延べ介入数は1,117件であった。つまり、検索することによって、予想外の領域での介護介入のヒントを得るこ可能性が大きい。
 開発したデータベースは、専門家のヒヤリングを行なっている段階では、極めて有効との評価を受けている。最終的には、ウェッブを通じて一般公開し、ケアマネジャー・介護職・家族介護者が活用することを目指している。
 しかし、事例数が増加することにより介入精度は向上するため、改善事例をさらに収集することを同時に進める必要がある。そこで、データベースのサイトには、調査欄を併設し、検索者が調査に参加できるようにすることで、改善事例をさらに収集することを計画し、セキュリティ問題を含め、サイトをデザインしているところである。