表題番号:2008B-224 日付:2009/04/23
研究課題産業遺産をめぐる歴史と記憶についての知識社会学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 准教授 周藤 真也
研究成果概要
 産業遺産をめぐる歴史と記憶を対象に、北海道を中心とした予備的な調査を中心に取り組んだ。9月、11月、3月の3度にわたって現地を視察し、主に空知地方の旧産炭地域を中心に、産業遺産や郷土資料館の視察、函館、小樽地域を中心とした産業遺産の観光化の取り組みの現状について視察した。周知のように北海道は、江戸時代には「蝦夷地」と呼ばれ、渡島半島などには和人が侵出していたものの、本格的な開拓がはじまったのは明治期に入ってからである。このように、「日本」としての歴史の浅い北海道であるが、厳しい自然環境のもとでの開拓、炭鉱をはじめとした資源開発、先住民の排斥やかつての囚人労働・炭鉱労働などの厖大な記憶を残しており、離農に伴う過疎化や閉山に伴う炭鉱街の消滅などは、現在の日本の歴史と記憶をめぐる最先端の事柄が集積していることがわかった。本研究では、近年注目されている、そうしたかつての人間の活動による遺物を産業遺産・近代化遺産として「地域おこし」やまちづくり、観光などに活かそうとする動きの現状も確認することができ、現在、研究成果を論文にまとめているところである。