表題番号:2008B-204
日付:2013/05/09
研究課題Peer-to-Peer型メモリ提供サービス
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 山名 早人 |
(連携研究者) | アンビエントGCOE | RA | 上田 高徳 |
- 研究成果概要
- 大容量のデータを保存・解析するために,ストレージは必要不可欠の存在である.ストレージの性能はシステム全体の性能に大きく関係するが,アクセス速度で不利なハードディスクドライブ(HDD)が,いまだにストレージとして利用されている.HDDはその物理的な構造から,アクセス性能の向上が難しく,CPUの性能向上に遅れをとっている.
一方,近年,1チップ上に複数のコアを持つマルチコアCPUが登場してきている.今後,1つのチップに十数コアを搭載したメニーコアCPUが登場することは確実である.このようなメニーコア環境下では,アプリケーションが並列に動作するため,ストレージへのアクセス集中が問題になる.並列アクセスが原因で,HDDが特に不得手とするランダムアクセスの頻度が増え,ストレージがますますボトルネックになると考えられる.
そこで本研究では,来たるメニーコア時代を睨み,ストレージのボトルネックをソフトウェア的に軽減することを考えた.具体的には,新しいデータマイニングを用いたディスクキャッシュの仕組みを考案し,OSレベルに実装することで,ハードウェアおよびアプリケーションの修正を回避し,ボトルネックを低コストで軽減した.
本研究の成果として,ファイルアクセスログから抽出したアクセスパターンを用いることで,キャッシュ性能を向上できることを示した.実験では,TPC-C相当のベンチマークのアクセスログをシステムコールレベルで取得し,データマイニングのアルゴリズムを用いてアクセスパターンを抽出した.シーケンシャルアクセスをフィルタすることで,マイニングに掛る時間を小さくすると同時に,良質なアクセスパターンを抽出可能なことを確認した.また,アクセスパターンを用いてLRUリストを並び替えることで,キャッシュミス率を低減できることも確認した.
本研究の主な貢献は,ディスクキャッシュを効率化するための新しいマイニング手法の提案とマイニングを効率よく行うためのフィルタリング手法の提案である.