表題番号:2008B-199 日付:2009/03/11
研究課題溶融金属小滴の生成と金属チタン製錬への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 不破 章雄
研究成果概要
近年、金属チタンはその優れた特徴により需要、用途が急速に拡大している。金属チタンの生産はクロール法で行われており、チタ
ン原料(ルチル鉱等)の塩化工程、マグネシウム還元工程、塩化マグネシウム電解工程から構成されている。還元工程はバッチ式であり、金属チタン製錬における隘路となっており、クロール法に替わる新プロセスが望まれている。本研究課題では、ルチル(TiO2)の炭素還元により得た[TiC-TiO]固溶体を溶解性アノード(陰極)とし、溶融NaCl-KCl-TiCl2浴を用いて、カソード(陽極)に金属Tiを析出せしめる電解精製採取法を考える。[TiC-TiO]固溶体のアノード反応(Tiイオンの溶解、CO発生)は、反応性溶解反応として学術的な意義があり、同様な電解精製採取法の基礎となる重要なものとなる。本研究課題での総括反応式は、次式で表すことができ、その中間生成物は[TiC-TiO]固溶体であり、電気化学的なエネルギーも利用する画期的な還元プロセスである:2 TiO2(s)+ 4 C(s) =2 Ti(s) + 4 CO(g)。
本課題の目的は、TiO2の炭素還元反応による[TiC-TiO]固溶体の生成反応に関する諸条件(温度、時間、炭素混合比、雰囲気)を明らかにする。実験研究の結果は次の通りである:(1)TiC-TiO固溶体は、化学量論混合比のルチル、炭素の合成反応式、2 TiO2(s)+ 4 C(s) = 2 [TiC-TiO] (s) + 2 CO(g)、により生成可能であること、(2)適切な合成反応温度、時間は、それぞれ、1400C、4時間であること、(3)TiC-TiO固溶体の格子定数は従来の研究結果と同等であること。
 本研究の結果、「チタン電解精製採取法」の基本となる中間原料である[TiC-TiO]固溶体の生成プロセス条件が明らかになり、重要な知見が得られた。
学会発表予定:資源素材学会、研究成果発表:2010年春期大会