表題番号:2008B-193 日付:2011/04/13
研究課題冷房化が急速に進む東京都区部小学校の実態調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 田邉 新一
研究成果概要
本研究の目的は、保護者の要求、ヒートアイランド化による夏季の屋外温度の上昇、学校制度改正、二学期制による夏季日の増加、補助金制度に伴い、全国に先駆けて急速に冷房化が進んでいる東京都区部の公立小学校に関して、教育委員会へのヒアリング調査および実態調査により『小学校の冷房化状況』の現状を把握した。本調査により冷房化が進んでいない今後の他地域での対策に役立てることが可能となる。次に、少子化の影響も考慮しつつ将来の全国の小学校におけるエアコン設置数やエネルギー消費増加量のマクロ評価予測を行い、エネルギー消費量の増加を抑止することを目指した小学校建築における『環境技術対応策の効果』を検討することを目的とした。
『小学校の冷房化状況』の結果として、下記が得られた。
・エアコン導入が進む東京都K区10校の小学校教員に対するアンケート調査と同区の教育委員会に対するヒアリング調査を行い、公立小学校冷房化の現状把握を行った。
・アンケート結果より、エアコン使用による児童への影響については、すべての学校で児童の集中力が上がったと回答しており、夏バテに対する効果も見られた。
・K区立小学校16校の普通教室1学級当たりの冷房エネルギー消費量は、平均4,759MJ/学級であるが、学校ごとに使用量が大きく違っていた。EHPとGHPの熱源種類の違いよりも、使い方による違いが大きいと考えられた。
マクロ評価に基づいた『環境技術対応策』の効果の検討結果として、下記が得られた。
・公立小学校普通教室の47都道府県毎の2030年までのエアコンエネルギー消費量を予測可能なマクロモデル手法を新たに構築した。
・その結果、マクロモデルによる予測により少子化の影響を考慮しても2030年時点のエネルギー消費量は、全国で1990年比68%増となるが、冷暖房設定温度の緩和、自然換気の活用、庇や高性能ガラスの採用、高効率エアコンの普及と言った環境技術対応策の導入により、全国で1990年比±0%に抑制されると予測された。